リクルート退社後の人生
景気や世代にもよりますが、リクルートで定年まで務める方は現状、かなり少ないです。
私が見る限りだと片手で数えらるくらいの方しか、定年退職してないです。
つまり、最終的な離職率はほぼ100%です。
私の世代だと、入社後3年くらいのスパンだと離職率は20%くらいだったので、そんなに高くはないです。
早期に辞められていく方の原因は
1、リクルートの社風と合わない
2、労働時間が長い
などが多かったと記憶してます。
社風については前述の通り、かなり尖った方が多いです。
そして、そもそも会社として、
「あなたは社会をどうしたい」
「圧倒的当事者意識」
など、世間一般の企業とは違ったテーマを掲げているので、入社後に合わない人も一定出てくるといったところだと思いました。
早期に退職される方は他の企業へ転職される方がほとんどです。
日頃から転職や求人に携わる仕事をしてるため、求人を探すのが上手な方が多く、面接官への自分の見せ方も上手い方が多いので、世の中で言う、人気企業へ転職されていく方が多かったと記憶してます。例えば…
・日本たばこ産業
・ANA
・アクセンチュア
・三菱電機
・JFEホールディングス
などに営業や人事として転職した方を知っています。
また、起業する方もたくさんいらっしゃいます。
私が在籍していたHR部門については、ほとんどの方がHR、中でも人材紹介を生業として起業をしていました。
人材紹介はリクルートが作ってきたマーケットで、立ち上げの費用も大きくなく、リスクが小さいため、参入しやすいのです。
参考までに、人材紹介事業の立ち上げに必要なコストが下記です。
・職業紹介免許の申請に必要な資本金500万円
・免許申請費用15万円
・法人登記手続き15万円
・オフィス賃料100万円程度
業務委託として、一時的に免許を借りて業務を行う方も多いです。
オフィスについては、人材紹介免許取得にあたり、厚労省が定めるオフィス規定があり、それを満たす必要があります。
事業運営していくにあたっては、下記コストがさらにかかります。
・求職者の集客費用
固定で毎月20万円
人材紹介の成功報酬(フィー)の20%
つまり、1人求職者を入社に導くたびに60万円くらいが掛かるイメージです。
・求人獲得費用
これは自力で行うケースもありますが、人件費やテレアポ代行費がかかります。
人材紹介は初期コストが小さい上に、見通しやすいので、参入障壁が低い事業であり、起業する方もたくさんいるわけです。
前述の通り、リクルートの離職率は ほぼ100%なので、在職中から常に自分の将来像とそのために必要なスキルを考え、自ら成長していくスタンスが求められます。
最近話題のリクナビDMPフォローについて
・問題発覚
これは、(株)リクルートホールディングス傘下の(株)リクルートの下部組織である、リクルートキャリアが運営する新卒向けのサービス、
リクナビに登録している就活生の内定辞退率をAIで予測して、40社ほどのクライアントに提供していたことが発覚したことから始まってます。
ホンダやトヨタもこの中に含まれており、リクルート全体がバッシングを浴びてます。
・リクナビDMPの裏事情
ちまたでは就活プラットフォームだとか言われてますが、実はリクルートの新卒事業は結構苦しい状態が続いていました。
直近、シェア回復してますが、3年ほど前にはマイナビに取引社数No. 1を奪われてました。
シェアを復活させるきっかけになったのがリクナビDMP。
もともとの就活メディアの考え方から離れ、企業側と学生側の1to1マッチングをAIによって図るという、画期的なもの。
これが売れに売れて、リクナビのシェアは回復しました。
その中で後から作られたのが、今、話題になっているリクナビDMPフォロー。
去年の企業の内定辞退者の傾向から、辞退者がどのサイトをどれくらいの時間、閲覧していたか分析し、
今年の学生にそのロジックを当てはめることで、五段階で辞退率を出すというものです。
・問題点
これだけセンシティブな情報なので、当然、個人情報の提供にあたり、求職者の同意が必要になるが、リクルートキャリアはそれを取ってなかった…
8000名弱から同意を取り忘れたとプレスには記載されてます。
・思うこと
リクナビを含めて、リクルートの多くの商品は企業とユーザーのマッチングを図るものなわけだが、課金は企業側から貰っている。
リクナビも、もちろんユーザーの利用はタダだ。
本来はマッチングを生業にする以上、課金関係なく、フラットな立場が求められるが、
加熱する就職というマーケットの争いの中で、リクルート社内でいつのまにか、課金する企業側に肩入れしてしまい、企業にとって必要なものはなんでも作るという姿勢になってしまった。
今回であれば、ユーザー軽視のサービス開発という形に繋がったんだと思います。
今回のバッシングでリクルートの商品開発姿勢は是正されると思いますが、今後、AIの技術が発展すればするほど、これに近い事象がネット上のいろんなところで起きるのではと思ってます。
就活に留まらず、それを踏まえて、ユーザーは利用するサイトやアプリを決めていくしかないんだと思います。
もちろん、個人情報の提供同意を取得してなかったリクルートは論外ですが…
リクルート入社後の配属
●入社後配属について
HRのリクナビ、住宅情報のスーモ、じゃらん、ホットペッパーなど様々なプロダクトがありますが、同期の8割が営業に配属されてました。
当時の人事の考え方は分かりませんが、東大卒なのに営業の人もいれば、体育会出身なのに企画配属の人もいたので、配属に学歴などは関係ない気がしました。
私は大部分の同期と同様営業配属でした。
最近は「リクルート」と言われると少しスマートなイメージがありますが、なにを隠そう、ゴリゴリの営業会社なのです。
入社後は名刺集めや飛び込み営業を死ぬほどやりました。
道端をふらふら歩き、電車の中でサラリーマンに声をかけ、
研修期間だけで何百枚もの名刺を集めました。
ビルのてっぺんから一階まで飛び込んで回る、「ビル倒し」なるものも本当にありました。
メンター的な3〜5年目の優秀な先輩がついてくれて、自ら取りにいけば、色んなことを学べますが、やはり楽な仕事ではないので、当時は3年で2〜3割くらいは離職をしていたと思います。
個人的には、リクルート新人時代は、人生で大事なことを多く学べる大切な場でした。
今でも覚えてる、先輩から言われたフレーズもあります。
・「短い時間で成果を出せ、長い時間働けば誰でもできる」
生産性を追求するリクルートらしい考え方ですよね。
・「緊張とか関係ない、お前は今から役者。舞台で演じて、みんなを満足させろ」
役者並みのプロ意識を持てってことだったんだと受け止めてます…
・「お前が思ってることをさっさとやれよ。ここはそういう場だよ?」
営業をしてると忙しの中で、思考が停止してしまうことがあるんですが、他人任せにせず、自分で考えて、行動に移せってことですね。
リクルートの年収
●リクルートの年収
リクルートの年収は職務のグレードによって決まっています。
営業であれば売上や社数の達成度、それに根ざしたKPIの達成度が評価の半分〜6割を占め、残りが定性による評価になります。
定性評価の項目はグループや部への影響の与え方、顧客へ新しい価値を提供したかなどですが、上長との関わり方次第では定性部分は自分で設定することも可能です。
スタッフでも定量の評価は営業と同じような形で目標として与えられます。
人事であれば採用人数、企画であればそれに伴った集客人数や影響度合いで評価され、グレードの上下が決まります。
グレードごとのおおよその年収は下記です。
M2:450万円〜550万円
M3:550万円〜650万円
M4:650万円〜750万円
M5:750万円〜850万円
M6:850万円〜950万円
M7:1050万円〜1150万円
M8:1150〜1250万円
新入社員はM2からスタートします。
その後の昇格の仕方は様々です。
いわゆる 年功序列はない です。
私の場合はM6までは毎年上がっていきました。
M5からM6までは半年で上がったりもしたので、6年で500万円程年収が上がりました。
M7以上は管理職クラスになります。
世間一般より年収は高いように感じますね。私の年収の上がり方も社内で言えば普通よりやや早い程度のレベルでしたので、20代で1000万円以上貰う方も沢山います。
他にも、転居を伴う転勤の場合、100万円程度の手当てと家賃6ヶ月分が支給されます。
ただ、リーマンショクのような景気減速局面においては割増退職金を支払った上での指名解雇も行われましたし、当時は管理職クラスの年収も600万円代まで落ち込みました。
今のような景気が続くと良いんですがねー
リクルートへの入社理由
●入社理由について
まず、僕は、かなり軽い気持ちで入社しました。ポイントはいくつかあります。
★多様性
前述の通り、いろんな人がいます。
入社前にも様々な属性の人に会えて、「色んな人がいるから、オレも馴染めそうだ」と思いましたし、入社後もギャップはなかったです。むしろ
「色んな人がいすぎだろ…」とすら思いました。
僕が入社後、会った人の中でも特筆すべき人が何人かいます。
・茶髪でヒゲの営業マネージャー。酒癖がめちゃくちゃ悪く、複数の銀座の飲み屋を出禁になるレベル。プレーヤー時代の成績は抜群。マネージャーとしての業績も抜群。口癖は「オレは神様だからさ」
・幕末から続く、医者の一族に生まれ、医学部を志すも、血が苦手で挫折。ヤンキーになったものの、自頭の良さを発揮して、旧帝大に入学。その後、デザイナーを経て、リクルートへ入社してきた方。
・詳細は書けないが、幼少期から貧困状態にあり、高卒でアルバイト入社して正社員になり、ずっと目標を達成し続けている、営業。
などなど、多様性では日本一かも知れないですね。人種、性別、学歴、ホントに様々でした。
★育成
リクルートには人が成長できる環境があると思ってましたし、その通りでした。
ネットバブルの頃は
「石を投げればリクルートに当たる」と言われるほど、ネット界隈はリクルート出身者で溢れてましたし、活躍してる方は沢山います。
・株式会社LIFULL
井上高志氏
・株式会社北の達人コーポレーション
木下勝寿氏
・株式会社フージャースホールディングス
廣岡哲也氏
・株式会社じげん
平尾丈氏
・元株式会社USEN
宇野康秀氏
・株式会社マクロミル
杉本哲哉氏
・株式会社nanapi
古川健介氏
・株式会社ジーニー
工藤智昭氏
・株式会社リンクアンドモチベーション
小笹芳央氏
もちろん、個々人のポテンシャルにもよるもの、これだけの方が活躍しているので、リクルートという環境で成長できなければ逆に自分のキャリアや成長に諦めもつくと思いました。
★スタンス
会社の姿勢が顧客志向でした。社内では「業績は税金」と言われるほど、営業成績にコミットしなくてはなりませんが、入社前から言われてた通り、姿勢はあくまで顧客志向でした。顧客価値にそぐわない提案や受注は認められない環境があり、
社内にも浸透していて、誰も幸せにならない、理不尽な数字の追いかけをやりたくない
僕にはとてもマッチしてました。
★お金
後述しますが、入社前から言われてた通り、年収は悪くないです。
世間一般よりは高いので、生活する上では困らないと思いました。
リクルートという会社について
さて、最初は、僕が10年近く働いたリクルートという会社について書いていきたいと思います。
●リクルートってどんな会社なの?
多くの人がリクルートという社名で一番最初に思い浮かぶのはなんですかね?
サービスではホットペッパー、じゃらん、ゼクシィ、タウンワーク、リクナビあたりですかね。
indeedも子会社ですね。
昭和の方だとリクルート事件を思い浮かべるかも知れません。
起源で言えば、戦後最大の起業家と言われた、創業者の江副さんがプレハブ小屋から始めた就職情報誌の会社ですね。
僕も入社する前はそんな印象くらいしかありませんでしたが、
実際入社してみて言えるのは、サービスとか関係なく、とんでもない熱量で働く人ばかりが集う会社ってことです。
リクルートでは新人歓迎の際にフロアに垂れ幕がかかっているのですが、僕の垂れ幕に書かれている言葉は「銀河一になれ!」でした。
ギャグみたいなんですが、当時の上司は本気で宇宙のことを考えてる人でした。
(大学でも宇宙工学出身)
ここで言う本気とは1日、24時間のほとんどを、息苦しくなって、心拍が上がったままになるほど、切迫した状態で、宇宙レベルの視界からマーケットと対峙してるってことです。
頭おかしいと思いますよね?
僕も今だにそう思いますし、当時は入る会社を間違えたと思いましたし、残念ながら、
今だに当時の上司の視界には立ててません。
けど、驚くことになるのはこの先でした。
僕はそれから先、10年かけて、多くの仲間と仕事をしましたが、当時の上司は決して社内で、スーパーレアなタイプではなかったのです。
繰り返すと、
1日、24時間のほとんどを、息苦しくなって、心拍が上がったままになるほど、切迫した状態で、宇宙レベルの視界からマーケットと対峙してる人がまぁまぁいる。
リクルートはそんな会社です。
(今は知らん)
ブログ開設に至った経緯
ブログを始めるにあたり、まずはブログ開設に至った経緯を話したいと思いますが、主に2つです。
●日頃のインプットをアウトプットし、何かしら人の役に立てたら、良いなぁという思い
●自分のアウトプットの訓練にもなる
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